知らないと損!賃貸物件の退去時の敷金精算で得する方法と落とし穴
2016/08/12
賃貸物件に住んている方なら体験したことがあるのではないでしょうか。
退去時にクリーニング代などの名目で費用を請求されることです。
内容が不動産業界の文言などで表記されていてよくわからなかったり、
「契約書に明記されてます」の一声で何も言えなくなって請求に応じてしまうなどありませんか?
今回は退去時における借主がどこまで負担をしなくてはいけないかなどをまとめてみました。
実例も含めて「契約書に明記されていても負担しなくていい場合」をご紹介したいと思います。
目次
借主が負担すべき内容とは?
まずは、借主が退去時に負担を求められことが多い項目を見ていきましょう。
基本的には原状回復という言葉を用いられますが、
借主負担すべき内容は「故意・過失による汚損・破損を回復する」というものです。
ただ、昔からのなごりで借主が「借りた時の状態にもどす」という考えで請求されることが多いです。
下記の項目が負担項目では多い内容です。
- ハウスクリーニング代
- クロス張替え
- クッションフロアー(CF)張替え
- 畳の表替え
- 襖張替え
- カーペット張替え
この項目を見て「確かにこんな感じの項目が多かった」と思われた方は、
支払う必要のない多くの費用を負担している可能性がありますよ!
ガイドラインと契約自由の原則
まず、負担すべき内容を考える上で大切なのが、
敷金・原状回復トラブルを未然に防ぐために、
公表されている国土交通省のガイドラインです。
これを「国交省のガイドライン」と呼んだりします。
また、あわせて大事なのが、契約自由の原則です。
国交省のガイドラインはあくまで、トラブル解決の指針です。
法的拘束力はなく、あくまでも当事者間の契約が優先となります。
そうなるとやっぱり契約書の内容が優先されるから明記されているものは払わないといけない。。
と思いがちですが、そうでもないのです。
上記で記述した通りで、借主負担すべき内容は「故意・過失による汚損・破損を回復する」というものです。
例えば、荷物を運んでいて、転んで扉にブツケて扉が破損した場合は負担になります。
これは納得できますよね…?
過失で扉を破損したので全額払うしかないですね。
仕事で嫌なことがあってイライラして壁にパンチして穴を開けたらこれも負担ですね(笑)
一般的に故意・過失だろうと考えられているものだけを負担すればいいのです。
しかし、実際退去をする時は、故意・過失ではないのに負担を求められることがありますよね。
ハウスクリーニング代やクロス張替えはその代表例です。
それでは項目ごとに内容を見ていきましょう。
ハウスクリーニング代
原則、借主は負担する必要はありません。
契約書に明記されていなければもちろん負担はないですが、
契約書の特約事項などに負担すると明記されていても負担する必要はありません。
ただし、退去時に通常の清掃を行った上での引き渡しが必要になります。
考え方として、ガイドラインの解釈では、通常の清掃を行えば借主はクリーニング代を負担義務はないと解釈しています。
しかし、ガイドラインよりも優先すべきは契約自由の原則です。
そうなると負担することになりそうですが、ここで判例を見ていきましょう。
借主に一方的に不利になる契約は無効とする判例がでています。
これは「借主の全額負担を求めるには、それだけの特別な理由が必要であり」よほどの特殊な事情がなければ、
「修繕費用の借主全面負担特約」の効果を否定するというものです。
消費者契約法の「消費者の利益を一方的に害する条項は無効である」という規定にも抵触するので、このような特約は無効となります。
考え方としては上記のような解釈から負担する必要はないという判断ができます。
しかし、この解釈から「負担しないです」では優位に敷金精算の交渉をもっていくことにはなりません。
まず、ハウスクリーニング代として請求されている金額を確認しましょう。
請求額が正当な価格なのか確かめる必要があります。
現在の契約ではハウスクリーニング代を請求するにあたっては契約書に金額を明記しないといけませんが、
数年前の契約書では明記されていないのが一般的でした。
間取り別に相場の金額を見ていきましょう。
間取り | 金額 |
---|---|
ワンルーム | 20,000 〜30,000円 |
1K | 25,000 〜35,000円 |
2K/2DK/1LDK | 30,000 〜45,000円 |
2LDK/3LDK | 40,000 〜55,000円 |
ハウスクリーニング代の主な金額算出方法は「部屋数」「水回りの数」「サッシの数」が大きな算出要点です。
よって部屋のクオリティーで金額が変わってきますが、
大まかには上記の金額内であれば一般的であり、妥当な金額であると考えられます。
また、見積り書の「単位」にも気をつけましょう。
ハウスクリーニングの単位は「人工」や「式」で表示するのが妥当です。
これが「㎡」で単価1,000円などの見積もりをされている場合は要注意です。
クリーニングは床や壁だけを行うものではなく設備全般も行います。
「㎡」で単価を算出するような項目ではありませんのでご注意を。
金額が妥当であった場合は、そこで大切なのは妥協点を探ることです。
結局、退去時のトラブルは貸主と仲介会社との交渉で金額が決まります。
揉めるに揉めて、裁判までもつれ込むケースはゴミ屋敷などの余程の場合だけです。
結局は話し合いで決着するわけですから、
「私は知っていますよ」という借主の立場で交渉を優位に持っていくことが大切です。
他の項目についても相場を見ていきましょう。
クロス張替え代
クロスの量販クロス(一般的)なら800〜1,300円の範囲が妥当です。
クロスは「㎡」で算出されることが多いですが、一部屋の一面のみの張替えのような少量の場合は「一式」で見積もられることもあります。
クロスの張替え代は故意・過失で破ったり、傷つけたりした場合は負担する必要があります。
しかし、その場合でも減価償却を加味する必要があります。
後述するクッションフロアーやカーペットもそうですが、
6年で価値は1円にまで償却します。
つまり、6年以上の入居していれば、退去時に故意・過失でクロス全面張替えの場合でも、負担はほぼなしということになります。
また、6年住んでない場合でも入居時に張替えを行っていなければ、
前の入居者が住んでいた年数分も加味されます。
例えば、前入居者は新築で入居し3年住んでいて退去し、自分が3年入居して退去する場合は、自分が入居する時に張替えがされてない場合は償却期間は6年となります。
よって負担はほぼなしとなります。
クロスの張替えは全室やることは少なくなってきています。
一室だけやる場合や一面だけやる場合などもあります。
このような場合はどこが張り替えてあるのか借主は全てを判断するのは困難です。
オススメなのは契約時に不動産会社に聞いておくといいでしょう。
良心的な不動産会社なら契約時に「図面などにマーカーを引いて、ここのクロスは何年償却しています」といった資料を作成しているところもあります。
そしてクロスの張替え代の請求時に一番問題になるケースが喫煙による汚損です。
基本的な考え方としては、喫煙による汚損は過失になります。
また、喫煙による汚損は煙が回りますので、
天井・壁全ての張替えが必要になることが殆んどです。
喫煙者の方で部屋で吸っていませんと言っても、プロが見れば直ぐにわかってしまうので注意が必要です。
退去時は不動産会社の方や貸主がチェックしますが、喫煙したかどうかは、壁と天井の入り隅を見れば一発でわかってしまいます。
また、換気扇のシロッコファンや、エアコンの熱交換器付近を確認すればバレるので無理な言い訳はやめた方がいいです(笑)
もちろん減価償却が適用されるので、6年入居して退去する場合に部屋の中がヤニで真っ茶色でも負担はほぼありません。
ですが、喫煙での汚損には注意して下さい。
契約書の条文には大体「喫煙での汚損は故意・過失とする」や「喫煙での天井・壁クロスの汚損は全額負担」などの文言が入っています。
考え方としては、契約書に明記されていても、減価償却が優先されます。
しかし、貸主としても喫煙による汚損がなければ全面張替えをする必要はなかったかもしれません。
特に天井のクロスなんてそうそう汚れるものではないですからね。
「負担しません」では貸主は納得しないと思います。
そこでポイントなのはやはり妥協点を示すことです。
6年入居している場合なら、クロスは償却してほぼ負担はありませんが、喫煙で汚損したのも事実なので張替え代の20%は負担します。
といった妥協点と歩み寄るポイントを示すことです。
そうでないと解決が長引く上に、相手の怒りを買ってしまう恐れもあります。
喫煙の汚損は単純にクロスだけではありません。
他の項目で請求されるなどの思わぬカウンターパンチが飛んで来ることも考えられます。
例えば、エアコンの清掃はハウスクリーニングに含まれていますが、
喫煙していた部屋のエアコンは通常のハウスクリーニングでの洗浄では臭いが残ることがあります。
その場合、高圧洗浄等の追加費用が必要になります。
また、高圧洗浄を行えないエアコンもありますので、そうなると臭い解消が困難です。
交換費用の負担を請求される場合もあります。
もちろん設備の償却期間に応じての請求が来ると思いますが、数万円は覚悟したほうがいいですよね。
こういうところをクロスの負担をある程度してくれるなら、
エアコンの費用負担はいいよといった感じで貸主了承している場合などもあります。
他にも建具にはヤニがベットリつきますので、蝶番などは洗うにしても外さないといけないので、その作業代などやろうと思えばいくらでも請求項目を作れるので、喫煙での汚損の場合は注意が必要です。
クッションフロアー(CF)張替え代
巾木 オーデテープ 3000
クッションフロアー(CF)は主に水回りにの床に引いてある素材です。
洗面所やトイレ、キッチンなどに仕様されていることが多いです。
単価は「㎡」で表記されることが多いです。
相場は2,500〜3,500円くらいが妥当です。
トイレや洗面所などの狭いスペースは「一式8,000円」などで表記されることもあります。
クッションフロアー(CF)は入居期間が2〜3年でも張替えが必要な場合が殆んどです。
というのも、家具を置いたらまず凹みます。
水をこぼしても直ぐに拭き取れますが、こぼした調味料等を放置してしまった場合は染み込みます。
洗面所の場合は、マットを引いている方は定期的に交換しましょう。
引きっぱなしにしている場合は、裏がカビだらけになることがよくあります。
考え方としては、減価償却が適用されます。
その場合も、家具を置いて凹んだ場合等は費用負担する義務はありません。
調味料の着色やカビなどは過失になりますので、償却年数に応じて負担しましょう。
また、クッションフロアー(CF)は部分張替えはできません。
過失で負担する場合はその場所の床全てに対しての費用負担になります。
ただ、そんなに金額が大きくなる項目ではないので、なにが過失なのか、おおよその値段を把握していれば問題ないと思います。
畳の表替え
一般的な畳で、一畳4,500〜5,500円が相場になります。
畳は消耗品となりますので、全額借主の費用負担となります。
「消耗品」とは…電球・蛍光灯、水栓のパッキンのように使っている内に消耗してしまうものです。
なので、2DKで6帖の畳の部屋が2室ですと、5,500×12=66,000円にもなります!
こうなると、畳の部屋は敬遠したくなりますよね。。
ただし、不動産会社によっては畳も償却のグラフに含めているところもありますのでご安心を。
畳のある部屋に入居する場合は畳の扱いを確認しておくと安心できますね。
襖張替え代
相場は2,500〜3,000円くらいです。
こちらも畳同様に消耗品扱いとなります。
あまり多くはないので相場だけ確認しておきましょう。
カーペット張替え代
あまり見かけないですが、昔の投資用ワンルームとかによく見かけますね。
後は古い高級マンションなどにも使われていることが多いです。
一般的な普及品であれば3,000〜4,000円が相場です。
考え方は減価償却グラフを適応します。
部分張り替えは場合によっては可能ですが、
基本的にはクッションフロアー(CF)同様の全面張替えとなります。
ただ、以外にカーペットは張り替えるケースは多くないです。
古くなりすぎた時のリフォームの時以外は、過失で破損・汚損した場合が多いです。
相場を確認しておけば問題ないと思います。
退去時の精算で得する方法
①負担する項目の相場を知ること
上記で紹介した項目が、主に精算時に負担する可能性があります。
相場をしっかり確認することで、余計な負担を軽減しましょう。
特にハウスクリーニング代とクロス張替えの単価は抑えておきましょう。
この2項目が退去した精算時に一番請求される頻度・金額共に多いです。
どのような契約でどう考えるかを知ること
相場を確認したら、その項目がどのような契約内容で負担を求められているかを確認しましょう。
契約書に記載されていないのに請求されることも多いです。
また、確認して負担に項目になっている場合でも、ガイドラインや判例、消費者契約法によっては負担の義務のない内容もありますので、契約内容を理解し、どのように判断するかを確認しましょう。
②欲張らずに妥協点を示すこと
全部負担しないというのは大人の判断ではありません。
請求されている内容にもよりますが、自信が納得できる妥協点を示すことが大切です。
具体的に例を上げて考えてみます。
例1)クリーニング代のみ
入居年数 | 1年 |
---|---|
間取り | 1K |
概要 | 25㎡ マンション |
上記のようなケースでクリーニング代40,000円のみ請求された場合はみなさんならどうしますか?
もちろん特約でクリーニング代は支払うとなっています。
通常の清掃をして引き渡しました。
この場合、支払わないとなると必ず揉めます。
請求項目がハウスクリーニング代のみなので、支払わないというのは交渉が難航します。
ここは減額してもらう方向で話をするといいでしょう。
通常の清掃を行えば負担する義務はないことを伝えながらも、
特約事項を認識していることも伝えましょう。
その上で、25,000円前後であれば支払う意志はあるとすれば1〜2回の交渉で済むでしょう。
払わないと交渉が難航してストレス溜めるよりもスマートに解決できると思います。
例2)クリーニングとクロス張替え
入居年数 | 3年 |
---|---|
間取り | 1LDK |
概要 | 45㎡ マンション |
項目 | 金額 |
---|---|
クリーニング | 40,000円 |
クロス | 単価1,300円 35㎡ 22,750円(50%) |
過失でクロスを汚損していない場合です。
ハウスクリーニング代が40,000円とLDKの壁クロス張替え代の50%を請求されました。
こちらも特約でクリーニング代は支払うとなっています。
通常の清掃をして引き渡しました。
この場合は判断が難しいですね。
クロスの張替え代は過失ではないので、拒否してもいいかもしれません。
しかし、妥協点を探るのであれば、20%前後負担するとの意思表示をしてもいいかもしれません。
というのもクロス張替えの判定も難しい場合もあります。
壁のクロスが3×2センチ程度で剥がれていたとしましょう。
これは一般的にキズの判定になり、過失にあたりますが、通常の生活で少し壁にモノをぶつけることってありますよね。
または気づかないうちになんだろうこの小さいキズは?なんてこともありますよね。
その場合、原則、キズのある箇所だけで負担となりますが、現実的にそのキズの箇所だけ剥がして貼り直しを業者にお願いしたらやってくれません。
手間ですし、お金にならないから当然ですよね。
そのような場合は面単位での見積もりが有効とされています。
でもそうなると、すべての細かいキズのある面の負担となり、LDKだけじゃなくなることも考えられます。
通常の清掃を行えば負担する義務はないことを伝えながらも、クリーニング代は支払う意思を示して、クロスは20%なら支払うくらいがいいかもしれません。
もちろんクロスを全く汚してないし、細かい傷もない場合は拒否しましょう。
たさ、その場合でもハウスクリーニング代は払うくらいの方が迅速に解決できますね。
私自身も戸建てを5年間借りていて、退去時にピカピカにして消耗品の電球等を全て取り替えて引き渡しをしたのですが、
敷金精算書で請求額が20万超えできたことがあります。
もちろん交渉して、その結果、請求額が0円で、逆に請求して同意してもらいました♪
実例に関する記事は下記になります。
とある大手不動産会社の酷い実態を明らかにしているので、
是非参考に読んでみて下さいね。
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